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「懐かしい思い出」は人々を幸せにする 京大など世界28カ国の研究者が調査 感じる契機は「写真・音楽」が最多

京都大学の楠見孝教授など38人からなる国際研究チームは、懐かしさの文化を越えた共通性とその機能における文化的な細かな違いを明らかにした。なつかしさのきっかけは「写真・音楽」が最多で、その機能は「人生満足度の評価」などを高める傾向にあるという。

実験では28の国と地域の大学生2606人を対象に実施。2014~18年に授業と実験室、インターネットで行った。感情状態やなつかしさの機能、人生満足度など7項目を調査している。

それによると、世界で懐かしさのきっかけとしては最も多いのは「写真・音楽」などの感覚刺激。次に、悲しさ・寂しさなどの心理的脅威、「コミュニティ・家族」などの社会的集まりであった。これら3はは日本でも同様の順番でみられた。

懐かしさの機能として文化を越えて確認されたことは、懐かしい出来事を思い出すことは、「社会的なつながり」、「自己の連続性」、「人生の意味」さらに「人生満足度の評価」を高めることであった。日本ではこれらに加えて「自尊心」を特に高めていたという。

研究グループは「今後も現代の世界と日本におけるなつかしさ感情の文化的普遍性と固有性、特にウェルビーイングを高めるなつかしさの役割について、さらなる検討を進めていく」としている。