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ひもはどのように物体に巻き付くのか? 京大×立命館大研究Gが仕組みを解明 ロボットアーム開発にも寄与 

京都大学の谷茉莉助教と立命館大学の和田浩史教授らの研究グループは、力をかけると変形しなくすと元に戻る「弾性体」のひもを用いた実験を行った。ひもが棒に巻きつく際の巻き付き形状と間隔が、ひもの形と棒の太さに依存することを明らかにした。ロボットのソフトアームの開発などにもつながる。

力を与えずにひもの自重のみがかかっている状況での巻き付きに対して、その可否が何によっているのか。間隔はどのように決まるのかは、これまで理解されていなかった。

研究グループは、硬さや太さが異なる弾性体の均一なひもを作成した。このひもの一端を、水平に置かれた円柱に固定すると、ひもは重力で下に垂れ下がる。この状態で円柱をゆっくりと回すと、ひもは徐々に巻き付いていく。

また、ひもが「隙間なく」と「らせん状」に巻き付く場合、「巻き付かない」パターンがあることが分かった。そして、これらが共存することがあることも確認されている。

これら3つの巻き付きは、ひもがぶら下がっている長さと硬さ、太さ、重さを反映した重力曲げ長さ、円柱の太さによることを明らかにした。そして、これらの量を用いて、パターンの状態図を作ることに成功している。

谷助教は「一見簡単そうな問いですが、きちんと理解しようと思うと、弾性、幾何、重力、摩擦が関係した複雑な問題であった」とし「最終的に得られた結果はシンプルであるため、基礎的、応用的な研究発展、産業への波及が期待できる」とコメントしている。

身の回りにみられる巻き付き形状(朝顔の蔓、ガーデニング用の
水撒きホース、 糸、スパゲッティ)と、実験で得られた巻き付き形状
(写真撮影はいずれも谷茉莉助教)