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破骨細胞の分化に関わる必須因子 東京理大教授らが発見 骨粗しょう症などの新治療薬開発に期待

東京理科大学の早田匡芳教授らは、RNA結合たんぱく質「細胞質ポリアデニル化エレメント結合タンパク質4(Cpeb4)」が、メッセンジャーRNA(mRNA)のスプライシング制御を介して、破骨細胞の分化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。骨粗しょう症や関節リウマチの病態解明や治療薬開発の基盤となる重要な知見だ。

Cpeb4の局在を引き起こすメカニズムや核内構造体で果たす役割については判明していなかった。

研究によるとRNAなどからなる「核内構造体」では、mRNAの成熟化に関わる転写後プロセス「スプライシング」が行われている。だが、今回Cpeb4はRNAに結合する機能を介して、核内構造体に局在することが分かった。

さらに、Cpeb4欠損細胞では、破骨細胞の分化に関わる転写因子のmRNAのスプライシングパターンが変化した。これらの結果は、Cpeb4がmRNAのスプライシングを介して、破骨細胞の分化を制御していることを示す結果だ。

破骨細胞は、骨粗しょう症などの骨疾患の治療標的として盛んに研究が進められている細胞だ。研究ではマウスの培養細胞を用いたが、人においてもCPEB4遺伝子多型と骨密度が相関しているという報告もある。成果は、骨粗しょう症や関節リウマチの病態解明や新たな治療薬開発の基盤となる重要な知見となる。

早田教授は「破骨細胞が分化する過程は非常にダイナミックで、その背後にはどんなメカニズムが潜んでいるのだろうと純粋な好奇心を刺激される。今回、その一端を明らかにでき、大変嬉しく思う」とコメントしている。