京都大学など4機関からなる研究グループは、スーパーコンピューター「富岳」を使い、高速電波バーストの再現に成功した。電波放射の特性を世界で初めて解明している。この成果は宇宙論にも大きな波及効果をもたらすという。
高速電波バーストは短時間だけ電波で輝く天体現象であり、宇宙最大の電波爆発と言われる。その発生源は未解明な部分が多いが、非常に強い磁場を持った中性子星「マグネタ―」から放射されていることが示唆されている。
研究グループはシミュレーションを行い、衝撃波からの電波放射の特性を世界で初めて明らかにした。この実験は富岳で行い、63万4800個の演算コアおよび400テラバイトの物理メモリを使用して、10兆個のプラズマ粒子の運動を解いた。
その結果、電波は強い直線偏光をしていること、また偏光面が時間とともに変動することを発見。これらもまた矛盾なく観測を説明できることが分かった。今回の方法では高速電波バーストを正しく再現できており、衝撃波からの電波放射が高速電波バーストの起源であることを裏付ける成果が初めて得られたという。
研究グループの岩本昌倫京都大特任助教は「コロナウイルス流行による研究環境の変化も相まって、完成に想定よりも遥かに時間がかかった」と振り返る。「こういった困難もあって、研究が無事完成し論文として受理されたときの喜びはひとしおであった」とコメントした。