東京理科大学の西山千春教授らの研究グループは、短鎖脂肪酸が示すアレルギー抑制作用についてマウスと細胞、遺伝子レベルの解析を組み合わせることにより、その詳細な作用機構の解明に成功した。食事が健康に影響することを示した成果で、内容の見直しや提案につながるとしている。
西山教授らは、抗アレルギー作用を示すことが知られている短鎖脂肪酸に着目した研究を実施。近年、短鎖脂肪酸がマスト細胞の機能を調節することで抗アレルギー作用を示すというデータが蓄積されてきたが、その背景にある分子的メカニズムは分かっていなかった。
グループは短鎖脂肪酸が外界と接した組織に分布する「マスト細胞」を介してアレルギー抑制作用を発揮する際の分子機構を、マウスと細胞、遺伝子レベルの解析を組み合わせることで解明した。
マウスを用いた実験から、短鎖脂肪酸とナイアシンがアナフィラキシーを改善すること、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がその改善効果を阻害することを明らかにした。 西山教授は「NSAIDsは、喘息や炎症性腸疾患などの一部のアレルギーや炎症疾患において憎悪化をもたらすことが知られており、今回の知見はその点にも切り込んだもの」とし「食事や日常生活と関連の深いテーマとなった」と説明している。