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新しい量子機構の新理論を発見 有機EL発光材料の創出に期待(名大×九大)

名古屋大学と九州大学の研究チームは、次世代有機EL発光材料の発光効率を増幅する新しい量子機構の理論的発見に成功した。新原理に基づく高性能な有機EL発光材料の創出が期待されている。1日付の米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」で掲載された。

研究では熱活性化遅延蛍光(TADF)の過程であるスピン反転を高速化する新しい量子機構を発見した。この機構では、分子の振動が誘発するスピン反転効果と、高次の励起三重項状態を用いるスピン反転効果とが協調し合うことで反転が飛躍的に高速化する。

さらに研究チームはこの機構に基づく新理論も導き出した。従来理論での見積もりと比べて約1000倍以上のスピン反転速度をもたらす加速効果を生み出すことをシミュレーションによって発見している。

研究チームは「計算化学シミュレーションに基づく予測力の向上と有機合成化学の発展が相乗効果を発揮し、未踏の高性能有機発光材料をより合理的に開発する技術へと発展することが期待される」としている。