理化学研究所のユ・サガン主任研究員らのチームは、臓器や組織の細胞が失われたときに新しく補充する「組織幹細胞」が死ににくい原因を突き止めた。米科学雑誌「ライフ・サイエンス・アライアンス」に掲載されている。
研究チームはショウジョウバエの腸をモデルとし、通常の細胞では細胞死を促進するような操作を腸幹細胞に施した。その結果、腸幹細胞は死ぬのではなく増殖することを発見した。
通常の細胞では細胞死と増殖を促進するシグナルを同時に活性化する「フィードバック機構」が機能する。だが、腸幹細胞で機構は働かず、細胞増殖シグナルのみが優位となっていることがその原因であると明らかにしている。
ユチームリーダーらは「今回のショウジョウバエで発見した分子機構が人の組織幹細胞の細胞死抵抗性にも関わっているのかを明らかにすることが今後の課題だ」としている。