東京理科大学の吉田優准教授と東京医科歯科大学の研究グループは、炭素に臭素が結合した「ブロモ基」での選択的クロスカップリングとスルフィン酸エステルの求電子的活性化を経る環化反応を利用して、原子の集まりである官能基を損なわずに含硫黄化合物「ジベンゾチオフェンオキシド」を簡単に合成することに成功した。
ジベンゾチオフェンオキシドはスルホキシド部位を幅広い用途で利用できることから、有機合成や医薬品合成など、さまざまな分野での利用が期待されている化合物。だが、その合成には過酷な反応条件が必要で、官能基を維持するのが難しいという課題があった。
研究ではスルフィン酸エステルとアリールボロン酸を原料とし、「ブロモ基の選択的カップリング」、「求電子的活性化による環化反応」という2つの主反応を経て、目的のジベンゾチオフェンオキシドを合成することに成功した。
吉田准教授は「本手法で合成したジベンゾチオフェンオキシドを利用した応用研究により、活性酸素種が関与する生命現象の解明などにつながることが期待される」とコメントしている。