文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
エンドカンナビノイドが神経障害性とう痛を緩和 九大研究Gが新緩和メカニズム発見

九州大学の大戸茂弘教授らの研究グループは、体内時計の変調が神経損傷から生じる痛み(神経障害性とう痛)を緩和する仕組みを発見した。「エンドカンナビノイド」という物質が痛みを和らげているという。

神経障害性とう痛は末梢神経のダメージで発症する慢性的な痛みで、軽い触刺激でも激痛を引き起こす「アロディニア」が特徴。これまでに研究グループは、体内時計による時刻でとう痛の症状が変動することを発見していたが、体内時計を制御する「時計遺伝子」とアロディニアとの関連は明らかになっていなかった。

大戸教授らは体内時計の働きが慢性的に変調したマウスでは、末梢神経がダメージを受けてもとう痛が発症しないことを確認した。このマウスの脊髄では、アドレナリン受容体を介して、エンドカンナビノイドと呼ばれる物質の産生が上昇していた。

つまり、エンドカンナビノイドが末梢神経の損傷によるアロディニアの発症を抑制していることを突き止めた。この知見は体内時計によって制御されるとう痛を緩和する仕組みが備わっていることを表しているという。