筑波大学と名古屋大学、東京大学はマメ科植物の窒素状態に応じて全身で機能し、窒素固定細菌「根粒菌」が、共生する植物の根にできたこぶに鉄を集める働きを持つペプチド因子を発見した。これが窒素と鉄のバランスを保ち窒素恒常性を制御することも明らかにしている。このメカニズムを知ることは環境負荷を抑えた技術開発につながるという。
研究ではマメ科植物「ミヤコグサ」を用いて根粒共生過程の体内の窒素状態に応じた遺伝子発現解析を行った。その結果、約50個のアミノ酸によって構成される「IRON MAN(IMA)ペプチド」を確認した。これは根粒菌の感染によって漸進的に機能し、根粒に鉄を集める働きがあると分かっている。
さらに根粒共生を行わない「シロイヌナズナ」のIMAペプチドの機能を解析。その結果、ミヤコグサとシロイヌナズナの両方が、体内の窒素量の増加に応じて鉄を得ることで窒素恒常性を維持し、植物の成長を制御すると確認できた。
研究グループは「植物の微生物共生や栄養利用の能力を最大限に引き出し、持続可能な社会に貢献する技術開発につながると期待される」としている。