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「核ラミナの均一性の意味」立教大教授らが研究 筋ジスを引き起こすラミノパチー理解に貢献

立教大学の後藤聡教授らは、核ラミナの均一性が正常な染色体の高次構造、遺伝子発現、そして核の物理的強度を維持していることを明らかにした。筋ジストロフィーを発症するタイプのラミノパチーの原因解明に貢献すると期待されている。

細胞核は外側に二重の細胞膜が取り囲み核膜を形成している。その内側には、「核ラミナ」と呼ばれるメッシュ状の構造体が均一に存在する。この均一性が重要であるかについては未解明のままであった。

核膜に局在するたんぱく質「PIGB」が異常になると、核ラミナの均一性が異常になってまだらになることを研究チームは発見した。さらに、ショウジョウバエのPIGB変異体を解析したところ、PIGB以外の核膜たんぱく質の局在が異常になり、正常な核構造を維持できないことを見いだした。

核の構造が異常になったため、強度が維持されているのか測定したところ、変異体では著しく低下していることが分かった。

染色体の高次構造の形成に重要な役割を果たすと知られる核膜を調べると、正常固体と比較して変異体は染色体構造が異常になっていた。染色体は遺伝子発現に影響するために、筋肉の発生や維持に関する遺伝子を調査すると、多くの遺伝子発現が通常とは異なった。変異体の筋肉には筋ジストロフィーのような症状が確認されている。

後藤教授らは「今後は、PIGBのように核に多様な機能を制御する因子がヒトを含む哺乳動物にも存在することを明らかにし、その異常がラミノパチーの発症に関与するかを解明したい」と力を込めている。