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昨年10月の「鳥島近海津波の謎」 東大×弘前大×防災科研研究チームが解明 世界で初めて波高の増幅現象を確認

東京大学と弘前大学、防災科学技術研究所の共同研究チームは、昨年10月に東京都伊豆諸島の鳥島近海で発生した地震を伴わない津波「鳥島近海津波」の発生過程を明らかにした。世界で初めて津波の高さが重ね合わせで増幅する現象を観測し、立証している。

研究チームは紀伊半島から四国の沖合に設置された海底地震・津波観測網「DONET」で観測された津波と地震波の波形記録の解析をした。

その結果、10月9日午前4時53分~6時26分までの約1時間半に、計14回の津波を観測。さらに、6時以降に発生した大きな波の高さを持った津波は、津波の繰り返し間隔と津波の周期が近かったため、波の山と谷が重なり合って波高が2倍ほどに増幅していたと分かった。

これら津波は、鳥島の南方約70キロメートルに位置する海底火山「孀婦(そうふ)岩」の周辺で繰り返していたマグニチュード4〜5の地震と同時に発生していたことが判明した。10月下旬には、鳥島から孀婦岩にかけた周辺海域に浮遊軽石が発見されており、繰り返し発生したこれら現象と海底火山の密接な関連が示唆されている。

チームは「短時間で津波が繰り返し発生することによる増幅現象の観測を初めて報告したことに加え、その成果は今後、鳥島近海で津波を繰り返し発生させた海底変動現象の実体解明に役立つ」と評している。