九州大学の藤井秀道教授らの研究チームは、地域別・技術分類別にカーボンクレジットの登録におけるプロジェクト選定優先度の変化を明らかにした。
カーボンクレジット市場は二酸化炭素(CO₂)排出削減量をクレジットとして認定し、売買するための市場を指す。
研究では世界のカーボンクレジット発行を目的とした7185件のプロジェクトを「個別技術の優先度」「プロジェクト規模」「プロジェクトスコープの優先度」「カーボンクレジット市場の規模」の4要因に分けて調査した。プロジェクトスコープは、再生可能エネルギー、森林・土地利用、その他の3つに分けられている。
その結果、森林・土地利用においては持続可能な森林運営「REDD+プロジェクト」の規模拡大に伴い、炭素クレジットの発行量が増加したが、2016年以降は森林管理の改善が優先されると分かった。
再生可能エネルギーは、成長するカーボンクレジット市場により発行量が増加し、同年以降は風力発電と太陽光発電の相対的な優先度が上昇していた。発行の優先順位の変化は地域やプロジェクトによって異なるため、技術と地域によるカーボンクレジット量の変化を理解する上で、分析枠組みによる優先度の変化は重要な情報であると考えられている。
研究チームは「これらの要因を用いた計量経済学的モデルを適用することで、法的要因やエネルギー市場価格の違いが、炭素クレジットの発行量や価格に与える影響を分析することが可能となる」と訴えている。