国立遺伝学研究所の村山泰斗准教授の研究グループは、姉妹染色分体間接着に必要なたんぱく質を精製し、試験管の中で反応させることでDNA一対の接着構造「姉妹染色分体間接着」が作られる過程を再現することに成功した。がんや遺伝子疾患のメカニズム理解につながるかもしれない。国際科学雑誌「ネイチャー」に25日付で掲載されている。
これまで姉妹染色体間接着を形成するリング状のたんぱく質「コヒーシン」はDNA複製の最中に接着を形成することが分かっていた。だが、それがどのようにDNA複製に応答し、そして接着を形成するのかは明らかになっていなかった。
研究ではDNA複製が起こったときにどのようにコヒーシンが反応して接着形成するのかを解析した。
その結果、コヒーシンリングはDNAを抱えるように結合し、この状態で複製が起こると、コヒーシンがDNAから外れることなく複製が完了すると分かった。このことから、コヒーシンは分子リングとしてDNAをホールドしてDNAを束ねることで接着を形成することが明らかになった。
また、過去の研究から接着形成に関わる因子として同定されたたんぱく質が、DNA複製においてコヒーシンのDNA結合を補助し、接着形成を促進することが判明している。
村山准教授らは「研究で確立した再構成反応を一分子イメージングなどの高分解能の実験系で解析していくことで、接着形成の詳細な分子機構、分子レベルでの構造、接着を支える物性などより高次のメカニズムが明らかになると予想される」とコメントしている。