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新型コロナ重症化の新バイオマーカー 順天堂大研究Gが同定 制御血管内皮障害を検出

順天堂大学などの研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の国内患者と健常人の検体解析、患者情報データの比較検討からCOVID-19の重症化を予測するバイオマーカーを同定した。

研究では、2020年3月~21年2月までの期間における18歳以上の順天堂医院の入院及び外来のCOVID-19患者69人の患者情報と血液検体を収集し、炎症反応構成物質、血液凝固・線溶系因子を含む生理活性物質「アンジオクライン因子」の活性と血中濃度の解析を行い、20人の検体を対照群とした。

研究グループは後方視研究において、血管内皮障害・機能異常の指標でもある血管内皮由来の血液凝固・線溶系因子である遊離型と複合型のuPA、組織型PA(tPA)、PAI-1の末梢血液(末血)中の動態と重症度との関連性を解析した。

その結果、血中の非複合型PAI-1の増加、そして遊離型uPA濃度の減少、及びtPA/PAI-1複合体ではなくuPA/PAI-1濃度の減少が、COVID-19の重症度、そしてARDSの発症との相関性の高いことが判明しました。

つまりこれらのバイオマーカーの動態は、重症例で顕著であることが確認され、またuPA/PAI-1 複合体濃度の減少は、アポトーシスを誘導する炎症性サイトカインTNFαとも正の相関を示した。

さらにこれらのバイオマーカーの動態は、サイトカインストーム症候群を発症する炎症構成分子群である「IL-1β」、「IL-6」、「CRP」の増加やリンパ球減少とも有意な関連性を示している。

研究グループは「こうした炎症性疾患に対する早期診断法、そして新規分子療法の開発基盤の形成は、COVID-19の重症化抑制以外の、多くのサイトカインストーム症候群、炎症性疾患にとっても多大な寄与をもたらすことが期待される」とコメントしている。