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1細胞レベルで可視化するバイオセンサー 自然機構が仏科学センターとの共同研究で「Eevee-spCDK」を開発

自然科学研究機構と仏国立科学研究センターは共同研究により、細胞周期進行に重要な働きを果たすキナーゼである「CDK」の活性を細胞レベルで可視化するバイオセンサー「Eevee-spCDK」を開発した。CDKの活性がある値に達したときに細胞周期進行が誘導されることを直接的に検証することに成功している。

研究グループは、CDKが「生きた分裂酵母の中で、いつどのように活性化されるのか」を明らかにすることが重要であると考え、活性によって蛍光特性が変化するEevee-spCDKを新たに設計した。このセンサーを分裂酵母に導入し、様々な培養条件や変異株で、CDK活性の動態を調べた。

これを用いて分裂酵母のさまざまな変異株におけるCDK活性の変動とサイクリン濃度がピークに達した(G2/M期転移)タイミングを計測することで、G2/M期転移がCDK活性のぎりぎりの値によって誘導されるという仮説に、直接的な実験的証拠を与えることができた。 研究グループは「高い時空間解像度でのCDK活性の可視化への道を拓くEevee-spCDKは、CDKを通じた細胞周期の動的な制御原理を明らかにする強力な手段として、今後のさらなる研究を推進することが期待できる」と説明している。