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ウンチの化石から縄文人の腸内環境を明らかに ファージが多く存在 遺伝研などが調査

国立遺伝学研究所の井ノ上逸朗特任教授らの共同研究グループは約1万6000~3000年前に生きた縄文人の腸内環境を調べた。糞のDNAデータ分析により、細菌を宿主とするウイルス「ファージ」が多く存在したことが明らかになっている。国際科学誌「プロスワン」に25日付で掲載されている。

これまで縄文人の腸内環境がどのような特徴を持っていたのかは不明であった。研究グループは鳥浜貝塚(福井県)から出土した糞石でメタゲノム解析を実施して縄文人の腸内環境を考察した。

解析によると、現代人の腸内に存在する細菌やウイルスと類似の配列が多数検出された。他の動物では細菌やウイルスの種類が異なることから、これら糞石は他の動物の糞便ではなく人に由来するものである強い証拠となる。

検出されたウイルス配列の分類群を確認すると、ファージが多く存在した。これは、人の腸壁から乖離(かいり)し糞便に混ざった細胞からのウイルスDNAが検出されたのではなく、糞便に含まれた腸内の細菌から得られたファージDNAであることを示している。

研究グループは「今後は本研究手法を他の遺跡から出土した糞石にも応用することで、解読された細菌やウイルスのゲノム配列から縄文人の健康状態を推定するだけでなく、糞石由来の摂食物DNAを分析し、縄文人の腸内環境について、より詳細な分析を進めるとともに、腸内細菌やウイルスの長期的な進化を明らかにしたい」とコメントしている。

縄文人糞石から検出されたウイルスゲノム配列の分類。
円グラフで真核生物、アーキア(古細菌)、細菌に感染
するウイルス(ファージ)の存在比を表している。大半
が細菌に感染するウイルス(ファージ)であることが見
て取れる。