東北医科薬科大学と東京理科大学の共同研究により、オーファンGたんぱく質共役型受容体(GPCR)である「GPR141」がミエロイド系細胞に発現し、免疫応答を抑制的に制御することを明らかにした。GPR141は新しい創薬標的となる可能性が高いという。
これまでGPR141はヒトゲノム配列を用いた遺伝子探索の過程で同定されたオーファンGPCRの1つだが、免疫システムにおけるGPR141の生理機能は不明のままであった。
研究グループが免疫系におけるGPR141遺伝子の発現を調べたところGPR141は樹状細胞や単球、マクロファージなどに発現していることを見いだした。そこでGPR141の生理機能を解析するために「Gpr141-/-マウス」を開発した。
多発性硬化症(MS)の動物疾患モデル(EAE)をマウスに誘導すると、EAEが増悪化し炎症作用の産生が促進された。また、GPR141が欠損した樹状細胞はT細胞応答を増加させることが明らかとなり、免疫システムにおいてGPR141は免疫応答を負に制御する抑制性受容体であることが判明した。
研究グループは「GPR141は人でも発現していることからヒトGPR141の機能理解が中枢神経系自己免疫疾患の病態理解、新規治療法の開発につながる」としている。