物質・材料研究機構(NIMS)と東北大学の研究チームは、異なる熱伝導率を有する「アモルファス材料」の謎が原子鎖の長さ変化に起因することを解明した。材料開発に未踏材料探索領域であった準安定相を導入するとしている。
同じアモルファスでありながら、熱伝導率の異なる材料を作り分けることが可能となったが、その特性の違いを誘起する構造要因を分析する方法は存在しなかった。
研究チームは、高分解能透過型電子顕微鏡像だけでは区別のつかない異なる熱伝導率のアモルファスゲルマニウム材料について、その電子顕微鏡像をデータ解析と成分分析を用いて解析。その構造の相違を明らかにした。その結果、低温で成膜した試料には原子鎖の短いものが多く、高温で作成した試料には原子鎖が長いものが多いことを突き止めた。
研究グループは「研究では、データ科学の活用により、これまで識別が困難であった異なる準安定相7(アモルファス)の特徴を定量的に区別できることを明らかにした」とし「この手法は、構造的の変化に伴う物性の最適化に指針を与え、材料開発に未踏材料探索領域であった準安定相を導入する方法の1つになる」とコメントしている。