北海道大学の長谷川靖哉教授らの研究グループは、赤色発光分子を用いたがん悪性度検査システム「CancerGPS」を開発した。光を用いたヒト脳腫瘍の悪性度解析に成功している。22日付の学術誌「サイエンティフィックリポーツ」で公開されている。
発光分子を活用した生態観察システム「バイオイメージングプローブ」は、早期がんの悪性度診断で期待されている。
研究では水溶性のユウロピウム分子から構成されるCancerGPSを構築。腫瘍悪性度の検出を行った。具体的には、赤色発光水溶性ユウロピウム分子を腫瘍細胞培地に落として一定時間後に、腫瘍細胞における赤色発光から腫瘍細胞の悪性度を評価した。
GPSが腫瘍細胞に入り込むと、その発光速度定数は腫瘍の悪性度に応じて変動する。3 時間の注射後、グレードⅡ(良性)、グレードⅢ(準悪性)、グレードⅣ(悪性)の腫瘍細胞において、それぞれ4%、7%、27%の発光速度定数の増加が確認された。
悪性度が高い腫瘍細胞は、GPSによって大きな影響を受け、その発光速度定数の増加が促進され、悪性度を評価することに成功した。
長谷川教授らは「CancerGPSの創製が革新的ながんの悪性度評価技術を大きく発展させることができる」と評している。