京都大学の金森主祥助教らの研究グループは、ガラスのように透明かつ曲げ変形が可能なエアロゲルの作製に成功した。この技術を利用してエアロゲルの工業生産やハンドリングが容易になれば、高性能透明断熱材として広く利用できるという。
エアロゲルはシリカを用いて作製されるが、グループでは過去にシリコーンを用いて作ることで圧縮変形に対して壊れにくく変形回復が可能なゲルが生み出していた。今回は圧縮変形と曲げ変形の強度を高めて扱いやすいものを作ることを目指した。
均一な網目構造を形成させるために、非イオン性でブロックポリマー型の界面活性剤をゲル化促進の触媒として用いた。これらにより微細な繊維状骨格と細孔を持つゲルが得られ、高い柔軟性を示した。
さらに、有機強塩基によって重合反応時の水素イオン指数(pH)が制御できるようになり、より均質性の高い多孔構造となった。その結果、ガラスのようなクリアな透明性を示すゲルが得られることも分かっている。
研究グループの上岡良太大学院生は「研究により、エアロゲルの物性改善に向けた研究を大きく前進させることができただけでなく、多孔体の細孔構造と機械的特性の関係性について重要な知見が得られた」と評価している。