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肝細胞組織の移植後の生着を促す 慶応大准教授らが機能性ナノ粒子を開発 新たな細胞組織の移植法として期待

慶應義塾大学薬学部長瀬健一准教授を中心とする研究グループは、細胞シートなどの肝細胞組織の移植後の生着を促進する機能性ナノ粒子を開発した。

近年、新たな肝疾患の治療法として、生体外で肝細胞組織を作製し、移植して治療を行う再生 医療が注目を集めている。しかし、肝細胞は代謝活性が高いため、肝細胞組織の移植後に十分な酸素や栄養素が供給されず壊死してしまうことが問題になっている。

研究グループでは、幹細胞から作製したシート状の細胞組織(細胞シート)の治療効果を明 らかにしているが、さらに今回の研究では、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含有した生分解性高分子である機能性ナノ粒子を作製。肝細胞シートと共にラットに移植することにより、肝細胞組織の移植時の生着効率が向上することを見出した。

肝細胞シートのみの移植では、肝細胞シートは壊死してしまうのに対し、機能性ナノ粒子と共に肝細胞シートを移植した場合は、移植部位での血管新生を促進することにより、肝細胞シートが生着していることがわかった。

この研究で開発した機能性ナノ粒子は、肝細胞組織だけでなく、様々な細胞組織に対しても効果的な移植法となることが期待される。

機能性ナノ粒子と移植した肝細胞シート