大阪大学大学院基礎工学研究科の山口渉助教は、これまでニトリル水素化反応に広く使われてきたニッケルナノ粒子に炭素を固溶した炭化ニッケルナノ粒子を調製し、触媒活性を大きく向上させることに成功した。常圧水素下において反応を促進し、繰り返し再使用が可能で、従来用いられてきたニッケルナノ粒子を炭化することによって4倍以上の活性向上を実現した。さらに、界面活性剤や医薬中間体、ポリマー原料として必要不可欠なアミン類を、高効率かつ低コストで生産する次世代の環境調和型プロセスの開発も期待されるという。
今回、研究グループは、ニッケルに炭素が固溶した、直径30 ㌨㍍の炭化ニッケルナノ粒子を合成。これを金属酸化物の一種である酸化アルミニウムに分散担持した触媒を開発し た。
この触媒は、ニトリルを高効率に水素化し、これまで広く使用されてきた炭化されていないニッケルナノ粒子よりも4倍以上高い触媒活性を示した。また、常圧水素下でもニトリルの水素化反応を促進し、選択的に1級アミンを与えることができる。さらに、開発した触媒は固体触媒であるため、遠心分離によって容易に反応液から回収でき、触媒活性を維持したまま繰り返し使用可能。
この研究は、山口助教をはじめ、清飛羅大樹さん(研究当時:大学院生)、川上大輝さん(大学院生)、満留敬人准教授、水垣共雄教授、産業技術総合研究所の多田幸平主任研究員、北海道大学大学院工学研究科の三浦章准教授らのグループにより行われた。