文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
核融合プラズマの予測制御システム 京大など研究チームが開発 世界初実証

京都大学、核融合科学研究所、情報・システム研究機構などの研究チームは、岐阜県にあるプラズマ実験装置「大型ヘリカル装置(LHD)」を用いて、データ同化と呼ばれる数理的技術を応用した新たな予測制御システムを開発。その制御能力を世界に先駆けて実証した。

研究では、核融合炉の不確実性が高い状況下でもリアルタイムに得られる観測情報を用いて予測モデルを最適化し、精度を高めた状態で最適な制御を推定できるシステムを新たに作った。

チームは核融合プラズマに対してデータ同化を行うシステム「ASTI(アスティ)」を開発した。これをLHDに適用して予測モデルを最適化しながら、プラズマ加熱法「電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)」によって電子温度を制御する実験を行った。

その結果、モデルの予測精度を向上させながら電子温度を目標温度に近づけ、データ同化に基づいたデジタルツインによる核融合プラズマの予測制御を世界で初めて実証することに成功している。

研究チームの森下侑哉京都大助教は「今後は制御手法の開発を進め、本制御システムを核融合炉の制御基盤として確立させていきたいと思う」と説明している。