東北大学の古関駿介大学院生らの研究グループは、反射制御と呼ばれる人の神経系に基づいた制御に着目し、人を模した筋骨格モデルを用いた実験で速度を変えられる歩みを再現することに成功した。それを利用して省エネ歩行に資する神経回路を新たに発見している。日本時間で20日付の国際雑誌に掲載されている。
歩行の仕組みを知るため人を模した筋骨格モデルを用いて、自然な歩行を再現できる反射制御の枠組みが提案されている。だが、従来の反射制御の枠では、再現される歩行の速さは一定であり、目標速度に従って正確に歩行を変えることができないという課題があった。
研究では、新たな最適化アルゴリズム「PWLS」を使って構築したモデルを用いて、反射制御による速度域の省エネ歩行を再現した。それにより「遊脚の前方への振りを促進する大腰筋に関する反射回路」「遊脚の前方への振りを抑える大腰筋とハムストリングが協調する反射回路」の2つが省エネ歩行に寄与する神経回路と明らかにした。
古関大学院生らは「生物の制御を模倣した、広範な速度域を省エネで歩くことができる2足歩行ロボット、より適応的に歩行や動作をサポートすることができる義足やパワードスーツへの制御への工学的応用が期待できる」としている。