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酸素分子結合を用いた酸フッ化物正極 京大研究Gが開発 「全固体フッ化物イオン2次電池」に使う新規インカレーション

京都大学などの研究グループは、リチウムイオン2次電池を超える次世代の2次電池として期待されている「全固体フッ化物イオン2次電池」用の新規インターカレーション正極材料の開発に成功した。インターカレーションとは、物質の空隙にほかの物質が挿入される現象または反応の総称。

研究では ルドルスデン-ホッパー型ペロブスカイト構造を有する「La₁.₂Sr₁.₈Mn₂O₇-δF₂酸フッ化物」が、結晶構造から予想されるよりも遥かに多くのフッ化物イオン(F‒)を可逆的に挿入可能であり、既存のリチウムイオン2次電池正極材料を超える200mAhg-₁という高い可逆容量を示すことを発見した。

また、同材料はサイクル特性と出力特性にも優れていることも見出したという。

大型放射光施設「SPring-8」の分析技術を用いて解析すると、「充放電時に結晶構造が可逆的に変化していること」、「遷移金属カチオンに加えて酸化物イオンが電荷補償を担っていること」、「酸化物イオンが電荷補償をする際に構造内で酸素分子結合が形成することで過剰なF‒の挿入を可能にしていること」を明らかにしている。

研究チームは「インターカレーション正極材料とそれを用いた高エネルギー密度の全固体フッ化物イオン2次電池の開発が期待される」としている。