文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
「ヤングの干渉実験」で広島大と名大研究Gが成功 光子の渦巻き観測 渦の性質を持つ光子の普遍的な存在に期待

広島大学の和田真一准教授らの研究グループは、名古屋大学と共同した研究で高エネルギー電子が放出する渦を巻きながら進行する特殊な光が、それを構成する光の粒「光子」でも渦の性質をもっていると報告した。渦の性質を持つ光子も存在する可能性が期待されている。イギリスの物理学者トーマス・ヤングが示した光の流動性を示す実験〝ヤングの二重スリット干渉実験〟で明らかにした。

実験は分子科学研究所(愛知県岡崎市)の放射光源「UVSOR-III」電子蓄積リングで実施した。アンジュレータを通過する電子から発生した放射光のうち、波長フィルターで波長選別することで光渦の性質を持つ成分を抽出。さらに減光フィルターで光子が1つずつ二重スリットを通過する条件を作り出し、その干渉を超高速カメラで撮影した。

研究の結果として、らせん運動をする高エネルギー電子から自発的に放出される光子が、渦巻き波面の性質を本質的に持ち得ることを示した。このような高エネルギー電子のらせん運動は自然界で一般的に存在する現象。光渦は特別な光ではなく、普遍的な存在の可能性を秘めていると考えられるという。