横浜市⽴⼤学の仁⽥学助教らの研究グループは、⼼原性ショック患者に体外式膜型⼈⼯肺「ECMO(エクモ)」と経⽪的左室補助装置「IMPELLA(インペラ)」を併⽤した群、既存の⼤動脈内バルーンポンプ「IABP」を併⽤した群を⽐較。その結果、院内死亡の発⽣に改善がなかったことを明らかにした。
⼼臓機能の低下により末梢組織への循環を維持できなくなった状態は⼼原性ショックと呼ばれる。これによる急速な多臓器不全で3~5割が死に⾄るとされ、昇圧剤や強⼼剤に抵抗性を⽰す場合はECMOにより救命して⼼機能の回復が図られる。
研究グループは2018年4⽉~22年3⽉までの4年間に国内急性期病院に⼊院しECMO-IMPELLAあるいはECMO-IABPを受けた⼼原性ショック患者のデータを解析した。126ペアが分析対象となった。
それによると、どちらの患者群も約50%の院内死亡が発⽣しており、60⽇死亡についても統計学的な差が認められなかった。⼀⽅で、IMPELLAを併用した人はIABPを使⽤した患者と⽐較すると、在院⽇数が9.5⽇⻑くて出来⾼換算での医療費は約1.7倍⾼額であることが判明している。
研究グループは「使⽤したデータベースの性質上、本来分析に必要とされる重要な変数のいくつかを検討できていないため、ECMOに対する組み合わせとしてIMPELLAと IABPの優劣を決定するためには追加の研究が必要だ」とコメントしている。