「より多くのニュートリノ」を観測することなどを課題としていた14カ国78機関からなるT2K国際共同研究グループは、メインリング加速器の出力増強により、過去最多のニュートリノの生成を可能にし、約40%増の過去最高のビーム強度(710キロワット)でのニュートリノビームを生成したという。
T2K実験は茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCで生成したニュートリノを、約300キロメートル離れた岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデに打ち込んで、ニュートリノ振動を調べる実験。
KEK/J-PARCセンターはメインリング加速器及びニュートリノビームラインの出力を増強する改修を行い、より多くの陽子をニュートリノ生成施設に供給することができるようになった。
研究グループは、この改修に併せてニュートリノ生成装置の増強を行った。その結果、単位時間当たり過去最多のニュートリノを生成できるようになったという。
さらに、新たに新型の前置検出器を J-PARC内に設置したことによって、ニュートリノを観測する際の原子核との反応を従来より高精細に観測できるようになったと報告している。
研究グループは「ニュートリノの性質の理解がさらに進み、宇宙から物質が消えた謎の解明につながる」と期待を寄せる。