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〝永遠の化学物質〟PFASと生体分子の結合特性を予測 安全評価に貢献(愛媛大)

愛媛大学などの研究グループは、脂質代謝、高脂血症、糖尿病、動脈硬化症治療のターゲットとして注目を集めている「ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)」のたんぱく質立体構造モデルを用いて、有機フッ素化合物「ペル」及び「ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)」の結合特性を予測できる機械学習モデルを開発した。

PFASは撥水材や消火剤として広く使用されており、自然界や体内で分解されにくく蓄積されやすいことから、〝永遠の化学物質〟とも呼ばれている。

研究グループは6798種のPFASのPPARα-PFAS結合スコア(Sスコア)を計算。残留性有機汚染物質(POPs)であるPFOA・PFOSなどと比較して、高いPPARα結合親和性を示すPFASは4089種存在することを明らかにした。

次に、PFASの206個の構造的特性(分子記述子)を計算して特徴選択を実行した。選択した3個の分子記述子に基づいて、良好な精度でSスコアを予測する機械学習モデルの開発に成功している。

分子記述子とSスコアの間の相関関係を解析した結果、PPARα-PFAS結合の決定因子として、分子サイズ及び静電特性に関連する分子記述子を同定した。

この方法を用いて既存及び代替、新規PFASとPPARαの結合能を評価。その結果、多くの炭素原子やエーテル基を有する代替と新興PFASは既存のPFASと比較して、高いPPARα結合親和性を示すことが分かった。

研究グループは「研究で開発した機械学習アプローチは、PFAS-PPARα結合だけでなく他のリガンド-受容体結合研究や他の構造-特性研究にも適用できるだけでなく、優先して環境汚染や毒性研究を実施する必要のあるPFASの選定や新たに開発されるPFASの安全性評価に貢献できる」とコメントしている。