近畿⼤学と藤⽥医科⼤学、東京薬科⼤学、京都大学による研究グループは、未解明だったAREX複合体の構成因⼦を新たに同定した。また、別の複合体の機能分担についても解明している。これら成果はがんの早期発見などに役立つ可能性もあるという。
これまでに、人のバルクmRNA輸送体として「TREX複合体」と「AREX複合体」の2種類が発⾒されている。TREX複合体の構成因⼦や機能は先⾏研究によりすでに明らかになった⼀⽅で、AREX複合体は解明が進んでいない。また、なぜバルクmRNA輸送体が2種類存在するのかも分かっていなかった。
グループは研究によってAREX複合体の構成因⼦として「RUVBL1」、「RUVBL2」、「ILF2」、「ILF3」、「HNRNPM」という5つの分⼦を新たに確認した。
また、AREX複合体の主要構成因⼦である「URH49」の構造を解析。TREXとAREX複合体はそれぞれ構成因⼦が異なるが、URH49とTREX複合体の主要構成因⼦である「UAP56」はアミノ酸配列が類似していた。
そこでURH49とUAP56を⽐較した結果、1つのアミノ酸の変異により⽴体構造に違いが⽣じることが明らかになった。さらに、これら複合体はそれぞれ特異的なmRNA輸送に関わっていることも⽰している。
近畿大の増田誠司教授は「これらの輸送体の構成因⼦は、正常な細胞でもちろん必要ですが、さまざまながんではそれらの発現がさらに亢進(こうしん)しているため、がんのマーカーや予後の予測に役⽴つ可能性がある」としている。