文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
カルシウム濃度の変動がサルコメアの不安定性を引き起こす要因 中部大講師が発見、「S4C」と命名

中部大学の新谷正嶺講師は、横紋筋(心筋・骨格筋)の最小収縮ユニット「サルコメア」の自律振動がカルシウム濃度の変動によって予測不可能な不安定性を示すことを発見した。

研究では培養ラット心筋細胞を用いて、カルシウム濃度が一定の場合と変動する場合での熱筋節振動(HSOs)の波動特性を比較。その結果、濃度の変動がサルコメアの振動振幅や位相の不安定性を引き起こす要因であることが明らかになり、この現象を「S4C」と名付けた。

濃度が影響するHSOsにおいて、S4Cは振動の振幅や速度を変化させる一方で、一定の周期を保持していた。また、濃度の変化に応答してサルコメアの振動波形が変わる様子も観察された。

カルシウム濃度の変移という生体リズムがサルコメア集団に作用することで、カルシウム濃度変化へ応答しつつ、周期を保つ恒常性を生み出すという「生き物らしい特性」が創出されることが判明した。

熱筋節振動:心筋細胞を深部体温程度に温めると細胞内のサルコメアが収縮と弛緩を繰り返す振動状態になること