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口腔健康状態が悪いほど誤嚥性肺炎患者の入院日数は長い 東京医歯大研究Gが指摘

東京医科歯科大学の戸原玄教授らの研究グループは、高齢誤嚥(ごえん)性肺炎患者が入院時に口腔健康状態が不良なほどその日数が長いことを明らかにした。「入院時の簡易な口腔(こうくう)・嚥下機能評価が高齢誤嚥性肺炎患者の院内転帰の有用な予測因子である」と指摘している。

誤嚥性肺炎は日本の死亡原因の第6位であり、高齢者肺炎の8割に上るという報告もある。だが、誤嚥性肺炎と診断された入院中の患者を対象とした追跡研究は少なく、入院時の口腔環境が院内転帰にどのように影響するかは十分に明らかになっていなかった。

研究グループは2021年4月~22年3月の間に入院し、誤嚥性肺炎と診断された65歳以上の患者89人を対象に研究を行った。

その結果、対象患者の60%超が要介護の状態であった。入院時の口腔健康状態はかなり不良であることも分かった。また、週ごとに口内の改善が見られたが、入院する際に口の健康が悪かった人ほど入院期間も長い傾向があった。

戸原教授らは「研究は、入院時に早期退院を目指すことはもちろん、入院前、退院後も含めて、誤嚥性肺炎に対するより効果的な医科歯科連携を模索する上でも重要な知見になると期待される」と説明している。