京都大学と情報通信研究機構(NICT)の研究グループは、細胞周期制御因子「Wee1キナーゼ」が動原体と紡錘糸との接続を安定化することで、50年間見過ごされてきた染色体の均等分配に重要な機能を果たすことを突き止めた。
研究では紡錘糸を構成するたんぱく質と動原体を構成するたんぱく質にそれぞれ蛍光標識を施し、生きた細胞を顕微鏡下で観察するという手法が用いられた。
そして、有糸分裂期に注目して多くの細胞を観察した結果、約3割のWee1キナーゼを欠く細胞で、動原体から紡錘糸が離れてしまう不具合が起こることが確認できた。
さらに、Wee1キナーゼと監視機構「スピンドルチェックポイント」の両者を欠く細胞では、不具合を修正できないまま、染色体分配が起こってしまうため、細胞分裂を経て、染色体数が大きく異なる2つの娘細胞を生み出してしまうことも判明している。
研究グループは、「Wee1キナーゼが新規機能を果たすための仕組みを解明することが是非ともチャレンジしたい」とコメントしている。