名古屋大学の吉川剛典病院助教らの研究グループは、指定難病「汎発性膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)」の疾患関連遺伝子として『MEFV遺伝子』を世界で初めて報告した。
汎発性膿疱性乾癬は発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する。ときに致死的な慢性炎症性皮膚疾患であり、世界中で確認されている。
研究グループは、同病患者24例を日本全国から集積。網羅的遺伝子バリアント解析を行った。患者集団での、MEFV遺伝子バリアントを持つ頻度を一般人における頻度と比較した。
その結果、患者集団では2 つのMEFV遺伝子バリアント「p.Arg202Gln」と「p.Ser503Cys」を持つ頻度が高いことが判明。日本人患者の約2割がp.Arg202Glnを約1割がp.Ser503CysのMEFV遺伝子バリアントを持っていることが発見された。
さらに、この24例に加え、その他の無菌性膿疱を形成するのうほう性皮膚疾患を加えた34例でも同様の解析を実施。この集団でも同じ2つのMEFV遺伝子バリアントを持つ頻度が高いことが分かっている。
吉川助教らは「MEFV遺伝子変異を持つ汎発性膿疱性乾癬の患者では、MEFV遺伝子バリアントが関与するパイリンインフマソーム関連の炎症経路を標的とした抗炎症療法の有効性が期待できる」と説明している。