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成層圏へのエアロゾル噴射による氷床の変化 北大研究Gが予測 温室効果ガスと気候工学で変動を抑え

北海道大学のグレーべ・ラルフ教授らの研究グループは、グリーンランドの氷床の体積現象を防ぐために「成層圏への人為的なエアロゾル噴射」という手法を用いた場合、2090年までに氷床がどのような影響を受けるかをシミュレーションで予測した。

研究グループは「最悪の高位参照シナリオ(RCP8.5)」「(現在の社会の状況下で達成可能な中位安定化シナリオ(RCP4.5)」「RCP4.5の状況に加え、20~70年まで、年間5メガトンの硫酸塩のエアロゾルを赤道上の成層圏下部に噴射(G4)」の3つで予測。

その結果には、明確な差がみられた。対照実験と比べ、RCP8.5のシナリオでは、海面上昇に換算(SLE)すると、90.0ミリメートルの氷の損失が起き、RCP4.5のシナリオでは、SLEで 60.6ミリの失われた。だが、G4のシナリオでは、損失がSLEで37.6ミリに抑えられていた。

研究チームは「これは表面融解と動的損失が減少した影響と考えられ、本研究は温室効果ガスの削減とあわせて気候工学を活用することで、気候変動の影響を抑えられる可能性を示唆している」とコメントしている。