慶應義塾大学の海住英生教授らは10日、米ブラウン大などと共同でフレキシブル基板上の磁性薄膜において室温・低磁場での創発インダクタンスの観測とそのメカニズム解明に成功したと発表した。この現象を「創発磁気インダクタンス(EML)効果」と命名している。
研究グループは磁性薄膜に対して「階段状磁場」を加えることで効率的に磁壁を発生させ、この磁壁を電流により駆動することで室温・低磁場での創発インダクタンスの観測が期待できると考えた。
グループは交流電流下において、フレキシブルなポリカーボネート有機膜基板上のパーマロイ(ニッケルと鉄の合金)薄膜を磁場中にセットし、階段状磁場を加えながらインダクタンスの振る舞いを調査。
その結果、室温・低磁場において創発インダクタンスの観測に成功した。磁場により創発インダクタンスが変化することから、グループではこの現象を「創発磁気インダクタンス(EML)効果」と名付けている。
海住教授らは「研究成果により、フレキシブル磁気エレクトロニクスに新たな道が切り拓かれる」と評価している。