北海道大学の比能洋教授らの研究グループは、野生水鳥72種の卵白中のN-結合型糖鎖(N-グリカン)について硫酸化及びリン酸化に焦点を当てた解析を行い、水鳥の種間における酸性修飾糖鎖構造の違いを発見した。
研究グループは、同研究院の西村紳一郎教授が開発した糖鎖捕捉技術「グリコブロッティング」を活用。硫酸化及びリン酸化修飾を受けた微量糖鎖成分の迅速解析技術を開発した。この技術を用いて研究グループが管理している大規模野鳥卵白ライブラリを解析し、水鳥のインフルエンザ感染率に関する糖鎖修飾の潜在的重要性を見いだして提案した。
調査によって、ウイルス感染率が高い水鳥種ではリン酸化糖鎖が高度に発現していることが判明。研究グループは「この成果は、鳥類集団内でのインフルエンザウイルスの伝播と進化に影響を与える要因について系統的な理解をもたらし、感染対策への重要な指標を与えるもの」としている。