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世界初、量子磁性体のスピン波寿命を磁場で制御 東大×KEKが成功

東京大学の益田隆嗣准教授らの研究グループは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所と共同で、量子磁性体RbFeCl3のスピン波寿命を磁場で制御することに世界で初めて成功した。英国科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に11日付で掲載されている。

これまでの研究では、「個々の物質でスピン波がどのように安定に存在しているか」あるいは「不安定となっているか」について数多く調べられてきた。だが、1つの物質においてスピン波の安定性を外部から制御する試みは行われてこなかった。

研究ではRbFeCl3に着目。磁場中でスペクトル輝線がどのように変化するかを調べた。その結果、磁場がない状態ではシャープなモード(長寿命)が磁場を加えることでより短寿命になり、さらに強い磁場を加えると再び長寿命になることを突き止めた。

これは量子磁性体のスピン波寿命が磁場で制御可能であることを意味する。研究チームは「将来的に、室温程度のエネルギーのスピン波寿命を磁場制御可能な量子磁性体が見つかれば、スピン流を制御するスイッチデバイスとなり得る」としている。