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次世代のデジタルPCRチップ 理研研究チームが高速作製に成功 ビームを使った穴あけ技術

理化学研究所(理研)の杉岡幸次チームリーダーらの研究チームは、超短パルスベッセルビームによる微細可溶部形成とその後の選択化学エッチングを用いてガラス製デジタルPCRチップを高速に作製することに成功した。

デジタルPCRとは、多数の独立したユニットにそれぞれ0か1個の標的DNA分子を導入してその増幅を行う技術。

研究チームは、集光点が長距離持続する超短パルスベッセルビームを用いて、ガラス基板に多数の微細貫通穴(直径0.07ミリメートル、深さ0.4ミリメートル)を高速で開ける技術を開発した。

シングルショットのベッセルビームで1個の微細可溶部を形成し、1秒間に100個の微細可溶部を作ることができる。高速のステージを用い、レーザーの繰り返し周波数を増加させれば、1秒間に数千個以上の微細可溶部の作製も可能だ。

スライドガラスに2万個の微細貫通穴を開けたチップを、PCRなどの核酸増幅による検査「核酸増幅技術(NAAT)」の1つであるリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)に応用した結果、デジタルPCRに適用できることを実証した。

研究グループは「本加工技術は、デジタルPCRチップの製造のみならず、3次元集積回路用TGV作製やガラス基板の任意形状の穴開け、切断など多様な応用も期待できる」としている。