大阪大学と米国ジョンズホプキンス大学の国際共同研究グループは、細胞膜上で膜たんぱく質が前か後ろに偏って局在化する自己組織化の仕組みを解明し、「ダイナミック・パーティショニング」と命名した。多様な生命機能を実現する原理の解明につながる可能性がある。
これまで脂質を共有結合する「脂質修飾」で細胞膜に結合する表在性たんぱく質がどのように細胞膜上で非対称局在を形成するかは分かっていなかった。
研究グループは、細胞性粘菌と哺乳類培養細胞を用いて、脂質修飾を受ける表在性膜たんぱく質である3種類の細胞内シグナル伝達分子を対象に細胞膜局在の解析を行った。その結果、細胞膜上での側方拡散の速さの違いによって非対称局在を形成するメカニズムであるダイナミック・パーティショニングを見いだした。
研究グループは「研究成果により、膜たんぱく質が細胞膜上で自己組織化的に非対称局在を形成する仕組みを明らかにすることができた。このような自発的な対称性の破れを通して細胞極性など多様な生命機能を実現する原理の解明に貢献が期待される」としている。