量子科学技術研究開発機構(QST)は16日、国際熱核融合炉「ITER(イーター)」のトリチウム(三重水素)除去設備の性能確証試験が完了したと発表した。三重水素除去設備の長期的な健全性を実証している。
ITERは核融合エネルギーの実現性の確立を目指しており、米国や欧州、ロシアなど7極の協力でフランスで建築が進められている。排ガスに含まれるトリチウムは除去することとしている。
そのため、機構はトリチウムを連続的に純水で洗い流す「スクラバー塔」という設備を提案したが、トリチウムを含む排水の量が増えるという懸念もあった。そこで、塔内に純水が効率的に分散する構造にすることで効率的にトリチウムを取り除くことを可能にした。
機構は「この成果はITERの安全性を向上させ、ITER計画を推進させるのみならず、日本の原型炉における三重水素の安全な取り扱い技術の向上に大きく貢献する」としている。