早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邉大輝助教らの研究チームは、高齢者の歩数に応じた死亡リスクが最も低くなる最適なエネルギー摂取量を世界で初めて報告した。
これまで、利用可能なエネルギー量の合計値「エネルギー摂取量」と身体活動量による組み合わせ効果は不明であった。それを求めるため、チームは京都府亀岡市で2011年に行われた4159人の研究データを使用して約3年間の追跡調査を行った。
それによると、「低エネルギー摂取量/歩数が少ない者」と比較して「高エネルギー摂取量/歩数が多い者」は生存率が高いことが示された。だが、死亡リスクに対する歩数とエネルギー摂取量の相互作用効果は見られていない。
チームは算出した補正エネルギー摂取量と死亡イベントの関係を評価した。すると、リスクが最も低い100歩当たりの補正エネルギー摂取量は「35-42kcal/日」と分かった。しかし、補正エネルギー摂取量が「28kcal/日」未満及び「56kcal/日」以上の人は関連しなかった。
渡邉助教らは「高齢者においては身体を動かさないで食べることや身体を動かして食べないことは死亡リスクに有益な効果を示さないため、身体活動量に応じたエネルギー摂取量が高齢者の寿命を延長させるために重要な可能性が示唆された」としている。