横浜市立大学医師らで構成する神奈川ユニットセンターの研究チームは、妊娠中の血液中の葉酸(ビタミンB群の一種)濃度が高い母親から⽣まれた子どもは川崎病の発⽣リスクが約30%低くなることが明らかにした。葉酸サプリメントを摂取することで川崎病の発症リスクを低下させられる可能性を示している。
川崎病は乳幼児に好発する原因不明の疾患。全身の血管に炎症が⽣じ、後遺症として心臓を栄養する冠状動脈にこぶが発⽣し、最悪の場合には心筋梗塞を起こし突然死することもある。乳幼児の100人に1人が罹患するとされている。
研究チームは8万7702人の子どものデータを用いて川崎病と葉酸の関連について解析。
子どもの母親を妊娠中期からの葉酸サプリメントの摂取頻度を「毎日」「週1回以上」「月1回以上」「摂取なし」に分けて分析した。
その結果、妊娠中~後期の血液中の葉酸濃度が高い母親から⽣まれた子どもは、⽣後12 カ月までの川崎病の発症頻度が約3割低いと分かった。また、葉酸サプリメント摂取頻度が高い母親から⽣まれた子どもも川崎病の発症頻度が同程度に少ない傾向にあった。
一方、母親の食事からの葉酸摂取量は、川崎病を発症した子どもとそうでなかった子どもの間に差がなく、葉酸サプリメントの摂取が血液中の葉酸濃度を高めていることが判明した。
研究チームは今後について「母親の妊娠中の血液中の葉酸濃度が、何歳まで⽣まれた子どもの川崎病の発症を減らす可能性があるかについても解析を進める予定」としている。