理化学研究所(理研)の小坂元陽奈基礎科学特別研究員らのチームは、ショウジョウバエを用いた研究で表皮での局所的にたんぱく質「チロシン」の分解が高たんぱく質食への適応を可能にする機構を発見した。
チロシンは神経伝達物質やメラニンの前駆体となる重要なアミノ酸であるが、過剰に蓄積すると細胞に悪影響がある。そのため、体内のチロシン量は制御されており、大部分が常時分解されエネルギーとして使用されている。だが、チロシン分解代謝の制御機構についての理解は十分ではない。
研究チームは、ショウジョウバエのチロシン分解が表皮組織で特異的に行われていることを発見。分解はたんぱく質摂取量に伴って変化するチロシン量の増減を感知することで、低、高たんぱく質摂取それぞれの状況に応じて異なる機構で制御されていることが分かっている。
また、表皮でのチロシン分解ができない変異体ではたんぱく質摂取過多のストレスに耐えられず、発生できなくなることが判明した。
研究グループは「研究で解明したチロシン分解機構を薬剤などの使用によりうまく制御することで、効率的な疾患治療の可能性が開ける」とコメントした。