大阪大学の高橋英史講師らの研究グループは5日、名古屋大学と共同でストロンチウム(Sr)と金(Au)、ビスマス(Bi)からなるトポロジカル半金属が、強誘電相転移に似た極性構造―非極性構造相転移と超伝導の両方が実現すると世界に先駆けて発見した。
超伝導体は、医療機器として知られる磁気共鳴イメージング(MRI)や超伝導リニアなどの最先端の産業技術を支える材料の1つ。新しい超伝導体の開発は、産業応用だけでなく基礎研究の観点からも重要だ。
研究グループは、極性-非極性相転移を持つ化合物(SrAuBi)が超伝導を示すことを発見。極低温の物性測定や理論計算により、特殊な超伝導状態が実現している可能性を見いだした。このSrAuBiはトポロジカルなバンド構造に由来した表面状態の存在から、標準理論では説明できない超伝導が実現している可能性がある。
研究グループは「極性構造に由来したトポロジカル超伝導の実現と量子コンピュータ素子としての可能性が期待される」としている。