名城⼤学の⼟屋⽂教授の研究チームが若狭湾エネルギー研究センターと協⼒して、リチウムイオン電池の正極材料である「リチウム−コバルト酸化物」を使って⽔から⽔素を低エネルギーで作り出す⽅法を開発した。この酸化物や水を原料にした250度での水素生成は世界で初となる。
研究では、⽔を室温で吸収する優れた特性を有する同酸化物に注⽬し、低エネルギーで⽔から⽔素を取り出す研究を試みた。
研究チームは若狭湾エネルギー研究センターが保有するタンデム加速器を利⽤した「⼤気雰囲気型反跳粒⼦検出法」により、⽔分解によって⽣成された⽔素が同酸化物中に吸収されることをその場で観測。
原子が結晶内で最も安定し得る位置を評価する「第⼀原理計算」を⽤いて、⽔素導⼊による⽋陥形成エネルギーを求めることで、吸収された⽔素は形成された空隙(くうげき)「リチウム空孔」付近に最も安定に占有することが分かった。
さらに、室温で⽔浸漬された同酸化物を250度以上に加熱すると⽔素が発⽣することを発⾒している。
研究グループは「リチウム−コバルト酸化物から⽣成した⽔素は、既存の発電⽤プラントや家庭⽤燃料に適⽤することができるため、社会コストの抑制が可能であり、効率的な脱炭素⼿段として⼤きなポテンシャルを持っている」とコメントしている。