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SF₄アセチレンの画期的合成に成功 環境に優しいPFAS代替物を開発(名工大)

名古屋工業大学の柴田哲男教授らの研究グループは、テトラフルオロスルファニル(SF₄)化合物が有機フッ素化合物(PFAS)に代わる環境負荷の低い化合物になりうると推測。その合成素子であるSF₄アセチレン化合物群の画期的な合成手法の開発に成功した。PFAS規制を受けることのない製品開発の一助となりそうだ。

研究グループは6価の硫黄原子(S)に4つのフッ素(F)原子が結合したSF₄化合物に注目。SF₄部位は強力な電子求引性と高い脂溶性を有し、有機化合物に組み込むことで、PFASに類似した特性を示す。

一方で、難分解性の原因となるフルオロアルキル部位を持たない。このため、SF₄化合物はPFAS規制の対象外でありながら、環境に優れたPFAS代替品として機能する可能性がある。

名古屋工業大が開発した反応は水素のSF4アセチレンを銅(Cu)触媒、有機塩基、配位子、芳香族ジアゾニウム塩の存在下でヨウ化アルキルと反応させることで、わずか30分の反応時間でSF₄アセチレンがアルキルヨウ化物と効果的にクロスカップリングし、末端にさまざまな官能基を装備した新しいSF₄アセチレン化合物へと誘導できる。

研究グループは「このSF₄化合物を用いた新しい合成技術を産業界が取り入れることで、PFAS規制の制限を受けることなく、環境に配慮した製品開発を大きく進めることが可能になる」としている。