自然科学研究機構分子科学研究所など5機関の共同研究チームは4日、たんぱく質の2次構造モチーフ「αヘリックス」からなる5つの異なる複雑な形状のオールα型たんぱく質の人工設計に世界で初めて成功した。新たなたんぱく質が作られる可能性もある。学術誌「ネイチャーストラクチャルアンドモレキュラーバイオロジー」に同日付で掲載されている。
研究グループは、αヘリックスのみから構成されるオールα型たんぱく質が平行に並ぶシンプルな形状から、複雑な形まで多様な立体構造を生成できることを計算機シミュレーションで示した。
そして生成した構造の中から5つの異なる構成を選び、これらに折り畳むアミノ酸配列を計算機で人工設計。実験でそれらの折り畳み能を実証した。これにより、多様な立体構造が設計可能であることが分かり、新規機能性たんぱく質の創成につながることが期待されている。
研究グループは「研究により、αヘリックスがタンパク質立体構造中で不規則に配置された複雑な形状のオールα型タンパク質を人工設計することが可能になった」と説明。「研究成果は、生命現象の制御・設計、医療などに貢献する新規機能性たんぱく質の創成につながることが期待される」としている。