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ペニシリン生産菌のラマン分光法による解析 早稲田大がMeiji Seikaファルマと共同研究

早稲田大学はMeiji Seikaファルマ㈱(本社:東京都中央区)は、「ペニシリン生産菌のラマン分光法による解析に関する共同研究」を行っている。

抗菌薬は、細菌感染症の治療や手術時の感染予防に使われ、供給が途絶すると国民の生存に直接的かつ重大な影響が生じる。なかでも注射用抗菌薬に多く用いられるβラクタム系抗菌薬は、その原材料のほぼ100%を中国からの輸入に依存している。このため、βラクタム系抗菌薬4剤が経済安全保障推進法に基づき「特定重要物資」として指定され、産官学の連携のもと、国産化の取り組みが進められている。

Meiji Seikaファルマはこのうちペニシリン系抗菌薬2剤の国産化に向け、原材料である6アミノペニシラン酸(6-APA)の生産体制構築を目指している。6-APAは、微生物を用いた発酵生産により得られるペニシリンGを変換して得られるため、工業化にはペニシリンGの生産量を高める必要がある。

Meiji Seikaファルマは1994年までペニシリンを生産しており、今なお工業レベルの技術を保有しているが、共同研究により更なる生産性向上を目指す。

共同研究で用いるラマン分光法とは、ラマン散乱光を用いて物質の評価を行う分光法。物質に光を照射すると、光が物質と相互作用することで入射光と異なる波⾧を持つラマン散乱光と呼ばれる光が出る。

この光は物質が持つ分子振動のエネルギーにより決まるため、物質固有のラマン散乱光が得られる。

共同研究では、ペニシリン生産菌を対象とし、ラマン分光法によりペニシリン類並びにその中間体の細胞内における局在状況を解析。従前の発酵解析は培養液を全体で捉え、物理化学的手法や遺伝子分析などで解析してきたが、本共同研究の顕微ラマンの手法ではペニシリン生産菌の細胞一つ一つをミクロで捉え、発酵生産の経時変化や細胞内局在性、細胞外への移送機構について解析が可能となる。

この研究で、Meiji Seikaファルマは様々な条件で培養したペニシリン発酵液を提供し、早稲田大は理工学術院とナノ・ライフ創新研究機構の保有するラマン分光法によるin situ生体分子解析技術を駆使し、対象物質の細胞内局在の可視化を行う。

早稲田大とMeiji Seikaファルマは、この研究によりペニシリン発酵の生産性向上や品質安定化に貢献する要素を抽出し、製造管理法構築における科学的根拠とするとともに、目的物の生成プロセスの解明を目指す。